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2016年3月11日金曜日

『日経経済教室』・・ マイナス金利で何が起きる

『日経経済教室』で3月8日、9日の2回(上・下)に渡って2人の専門家が論じている。
8日(上)は、同志社大学教授の鹿野嘉昭氏、9日(下)は、東短リサーチ社長・チーフエコノミストの加藤出氏である。 

一言で言えば、鹿野氏が日銀出身者らしく、金融政策としての成果と限界を的確かつ定量的に述べているのに対し、加藤氏は短資会社のディーラー出身者としての立場から全く事前のメッセージも無い抜き打ちだったことで実務担当者の混乱を招いたと批判している。
しかし、加藤氏は敢えてそうした非常手段を講じた黒田総裁の政策意図とその成否については内外メディアの受け売り程度の解説でお茶を濁している。

ということで、後者は割愛し前者に絞って要点を紹介する。

① 国債利回りは短期国債を含め、マイナス金利導入とともに 0 2%程度低下した後、新たな水準でおおむね安定的に推移している。
② 一方、銀行によるごく短期の資金融通の場であるコ-ル市場の金利は、もともとゼロ近辺に有ったため、若干のマイナスとなっている。
③ 当然のこと、銀行の預貯金金利も引き下げられ、普通預金金利はおおむね0.001%となっている。その結果、個人や企業は運用利回りの低下に加え、資産運用機会の縮小を余儀なくされている。
(関口注: 金利で食っていけるような金持ちにとっては不愉快だろうが、私には関係ない!)
④ これに対し、借り手から見ると資金の調達環境はさらに改善している。社債市場では2月中旬以降、20年債、40年債といった超長期債が発行されるなど、企業は長期資金の低利調達に成功している。
⑤ このように、運用者は利回りの低下を強いられる一方で、調達者はコスト低下を享受している。
(関口注:働かざるもの食うべからず!)
⑥ マイナス金利が銀行収益に及ぼす影響を大胆に試算すると、0.1%の付利不適用を含めて合計800億円の減益要因となる。これは、全国銀行の2014年度決算での経常利益5兆円に対して2%弱にあたる。マイナス金利が適用されるのは今年2月半ば以降に増加する日銀当座預金に限られる。年間40兆円前後、総資産の4%程度にとどまると見込まれる。 (関口注:要するに銀行が投資努力をせず余資を日銀当座預金で遊ばせておくという逃げ道を塞いだということです)

(疲れたので休憩します。鹿野さんとは富士通総研時代にお付き合いがあったので信頼しています。⑩くらいまで書くつもりですので気になる方は後日又見てください)

(再開: 3月28日)
⑦ 銀行から見た場合、より大きな問題はマイナス金利政策に伴う運用利回りの低下だ。前述したように貸出金利は0.1%前後低下することが見込まれるため、運用勘定全体ではマイナス0.07%の利回り低下が予想される。その結果、経常利益は約5000億円、1割程度の減益が予想される。 ただし、そうした減益自体過去の利下げ局面でも生じており、副作用としてことさら強調する必要は無い。
(関口注:実際に何処の銀行も文句を言っていない。騒いでいるのは反日議員と売国評論家だけ)
⑧ 日銀のマイナス金利政策は初期の狙い通り金利の一段の低下を促すとともに、企業の資金調達コスト引き下げに寄与している。さらに銀行収益に対する負の影響も想定される範囲にある。 (関口注:黒田さんは当然のことをやっただけ。政策決定会合で反対した委員の見識を疑う!)
⑨ このように、マイナス金利政策は現在までのところ、サプライズを伴う政策変更ではあったが、市場では淡々とこななされている。 (関口注:「実務担当者の混乱を招いた」などと批判している加藤氏は何処まで実態を知っているのだろうか? 実務家の準備がどう進められるかについては日銀の情報システム開発に関わった経験のある鹿野氏のほうがよほど詳しいようだ。私もこの分野で長年仕事をしてきたので当局が真っ先に確認するのは情報システムの準備にどれだけの期間を要するかということであること位知っている。世間には抜き打ちであっても開発部門がつんぼ桟敷ということはありえない!)
⑩ もっとも問題が全くないわけではない。マイナス金利下でも5年から10年の国債が順調に消化されているのは、銀行が取得した国債のほとんど全てを日銀が買い入れオペ(公開市場操作)により買い取っているからだ。市場では日銀による買いオペは向こう2~3年のうちに限界を迎えると予想されている。そうなれば金利の急騰もあり得よう。
(関口注:1昨年の11月、恩師を偲ぶ会で、浜田宏一氏に「ハイパーインフレはおきませんよね?」といきなり質問したところ、「当分はね」と答えられたのも同じ事態を想定されていたのだろう。市場金利の急騰が直ちにインフレに繋がるわけではないがそのきっかけとはなり得る)
⑪ 日本の債券市場における大手投資家は生命保険会社だ。生保は日銀の買いオペ対象ではないため新たに引き受ける国債を通常満期まで保有する。その予定利率は現在0.8%であるが、一方、20年国債の利回りは現在1%を下回っており、日銀当座預金金利がさらに0.3%引き下げられれば予定利率の下限に達する。したがって、マイナス金利の下げ余地はそう大きくなく、マイナス0.5%前後だろう。
(関口注:いずれにせよ向こう2~3年が限度だからそれまでに官民結束して「皇国ノ興廃此ノ一戦ニ在リ、各員一層奮励努力セヨ」と言うことだろう)

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