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2013年12月11日水曜日

社長と取締約の関係・・60年以上続いている公然の虚構!

商法で定める取締役とは会社の持ち主であり、その最も重要な仕事は、社長の任免であり、査定である。
戦後、連合軍の日本改造(実体は弱体化)政策の一環として行われた財閥解体と公職追放によって、主要な持ち主が一掃された後、あらゆる分野で一雇われ人に過ぎない部長レベルの人物が商法上の社員でもないのに社長に成り上がり、商法と連合軍の指示には形だけ従って、会社を私物化し、他の従業員と世間を騙し続けてきた。

このことは、上場会社の役員、マスコミ、学者やその他の評論家と称する人々の間では、公然の秘密というより、常識である。

それが何故かくも長期にわたって不問に付されてきたかと言えば、そのことに異を唱えたが最後、企業社会から追放されるか、場合によっては抹殺されかねなかったからである。
また、そのことに気が付く頃には、役員候補の一人くらいにまで "出世" しており、準共犯者になってしまうからでもある。 現に私自身、富士通の部長になった後、何年か後に、同期や後輩の何人かが役員になるまで、本当のところは分からなかった。

さすがに、最近では "執行役員" などという名目で商法上の役員ではない(つまり、オーナーではなく使用人に過ぎない!)役員もどきの役職を作って、相変わらず世間を騙し、従業員には飴玉をしゃぶらせ続けているが、乗っ取りの張本人である社長たちは、いまだに "会社は、従業員(の中から選ばれた自分!)の物だ" と言い続けている。

もちろん、戦後の混乱を乗り切る過程では、実務に精通していた練達の従業員を登用する理由はあったし、それなりの成果も挙げたことは確かである。しかし、それと同時にノブレス・オブリージュが徐々に失われ、悪しき官僚主義が蔓延り続けてきたことも、また厳然たる事実である。

例を挙げればきりがないので、一つだけ例示しておく。後は、 読者自身が自分の周囲を見渡せばいくらでもおかしな事実に思い当たるだろう。

例: 役員報酬の怪!

大企業が不祥事を起こしたと糾弾された際、役員報酬を何割かカットしてお茶を濁すのが一般であるが、それがどの位の額なのかは一切、触れられていない。
普通の人たちは相当な金額なんだろうと想像するかもしれないが、有価証券報告書に記載されている役員報酬総額を役員の数で割ってみれば、それが雀の涙ほどだと言うことがわかる。
世間の人々、とくに大半のサラリーマンは、役員になれば格段に給料が上がると思っている。
それは、事実でもあり、誤解でもある。要するに誤魔化されているのだ。

今の日本では、商法が、完全に形骸化し、役員(取締役)とは、従業員の長たる社長が任命するお小姓組に過ぎない。 社長の任免や査定はおろか、取締役会で社長に異を唱えるなど、決死の覚悟でないかぎり出来るわけがない。

したがって、役員報酬とはお小姓の忠誠心に対するご褒美であり、象徴的なものであるから金額が大きい必要はなく、僅かの差で一喜一憂させることができれば十分だということになる。
また、少ない報酬に甘んじているように見せる方が株主や世間からの非難もかわし易い。

では、彼らの高額所得は何処から来るのかと言うと、専務何々担当とか、常務何々本部長とかいう名の従業員としての給料である。
役員に取り立てられた従業員の給料が、その従業員ランク(平、常務、専務、副社長、社長等)によって一般雇用者とは隔絶していることは誰でも知っているが、それは商法で規定され、有価証券報告書に記載義務のある役員報酬とは別物である。

したがって、社長が引責辞任するときなど、代表取締役としての役員報酬は返上しても、従業員としての社長給料や退職金は満額受取って当然と言うことになる。
また、社長以下各取締役の所得の大半を占めている給料部分の公開を迫られても従業員の給料を公開することはプライバシーの侵害に当るという屁理屈で拒否できる仕掛けになっている。

重責を担っていると言う理由で高額の報酬を受け取りながら、その大部分は、しがない従業員としての給料だと言いはる無責任集団が我国の中枢に跋扈するようになって久しい。

以上が従業員による会社の私物化とノブレス・オブリージュの欠如の一例でもあり、淵源でもある。

1 件のコメント:

  1. 戦前の日本で名士と言えば、高額納税者のことで、少数の創業者を除けば、大半は地主でした。従って節税と称する所得隠しなどは邪道であり、良心的な創業者は、社会事業や有為の若者の教育や創業のために相応の私財を注ぎ込んできましたし、大方の地主は、小作人や村のためにいざと言う時は、全財産を投げ打つのも珍しくありませんでした。父方の祖父の実家もそうした地主の一つで、明治29年の利根・渡良瀬大洪水で赤岩の渡しに接した全村が70日間に渡って水没した際、室町時代に開村して以来の他の2家とともに、全私財を投じて復旧に当たり、それを機に没落したそうです。

    福沢諭吉が始めた交詢社の日本紳士録に載るのは基本的に高額納税者でした。
    http://byoshonikki.blogspot.jp/2011/04/whos-who-in-world.html
    要するに、高額所得と高額納税が連動していたのです。
    それが、金持ちが尊敬された最大の理由です。
    米国では、現在でもその基本的風土が残っていることは、ウオーレン・バフェットやビル・ゲイツの例を挙げるだけで十分でしょう。

    金持ちが非難される社会は、徒に所得隠しを助長し、格差が無くなるどころか、死に金を増やし、ノブレス・オブリージュの居場所が無くなる殺伐とした社会です。
    金持ちを尊重しないマスコミや評論家が、政治家や経営者の品性を云々するのは、まったくの自己矛盾であり。欺瞞です。

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