久し振りにまともな記事を3つ読んだ。
8月4日の日経朝刊文化欄に五木寛之氏が、"山河破れて国あり" と題して先の敗戦時と今回の破滅的事態の違いを論じておられるが、まさに言いえて妙とでも言うべき表現ではある。 ただ私に言わせれば、66年前の敗戦でとっくに国はなくなっており、今回の事故と災害でその時わずかに残されていた山河をも失ったと言う方がより適切だと思う。 しかし、氏のイデオロギーに囚われない透徹した人間観には、いつもながら敬服する。
8月5日の日経朝刊のコラムでは、吉本隆明氏が、"科学に後戻りはない" と題して原発廃止論を退けた上で、獲得した力に見合う制御能力の確立に努めれば良いだけだと論じておられるが、けだし当然のことで、脱原発が非現実的なのは脱核兵器がそうであるのと全く変わらないことは、小学生でもわかることだ・・・と言ったら小学生に失礼か?
同日の同紙春秋欄には、珍しくまともな記事が載っている。 日立製作所と三菱重工のインフラ事業統合を歓迎すると言うものである。 やはり、日経に限らず戦後日本のマスコミがまともな記事を書いたのは、産業界の話だけである。 このこともまた、日本がとっくの昔に国ではなくなっていたことの証左だろう。 と同時に明治以来、外圧がない限り、自発的にまともな戦略を打ち出したことのない体質だけは健在だとでも言っておこうか。
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