2012年9月13日木曜日
「学士会報・・50年間続く愛読書」の危機?
最近、学士会報の体裁が一新された。所載論説は相変わらず流石と思わせるものが多く、いつも期待を裏切らない。無責任な週刊誌は論外であるが、比較的真面目そうに見える月刊誌のように政治的主義主張に偏ることなく、具体的な事実と体験に基づくご自身の名誉を懸けた論考で、我々の無知を反省させてくれることが多い。
だだし、最近は執筆者の知識水準に編集者が付いていけなくなりつつあるのではとの懸念を抱かせるケースが散見される。
一例として、第896号に山内昌之東大名誉教授が書かれた「中東危機の現状」にこんな文言が載っていた。
・・・アブドゥッラーという人物の歓迎すべからざる面・・・
「端倪すべからざる・・・」という褒め言葉を「歓迎すべからざる・・・」と勝手に「訂正」したつもりなのだろうが、これでは全く逆の意味になってしまう。こういうことをされた方はたまったものではない。
かつて、私も、ある出版社の編集者に「FNBC」を「FNCB」と勝手に直されて、献本先の識者から叱られた苦い経験があるだけに、山内氏の無念やるかたないお気持ちが察せられる。
学士会報だけは、と信頼していたのに、こういうことが続くようでは、まともな執筆者も、読者も去って行く一方だろう。その結果は、日本語文化の荒廃と知識水準の止めどない低落である。
学士会編集部の猛省を促したい。
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