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2015年4月2日木曜日

日本人の精神構造・・機能組織の共同体化

上場企業や官庁に所属する人は、滅多にネット上には登場しません。良くも悪くも組織人は、組織から離れた個人として活動しません。それをやったが最後、組織から浮いてしまう(よそ者になってしまう)からです。これは政党でも学界でも宗教団体でも例外ではありません。

明治以降に出来た制度や法律は皆、いざというとき組織を防衛するためにある歯止めであって、通常は日本人としての常識で全ては回っているのです。ですから、雇用契約を読んだことのある経営者は居ませんし、雇用契約を見たいなどと言う人間を採用する会社もありません。正社員の終身雇用というのも制度ではなく、江戸時代の丁稚奉公以来の社会常識なのです。正社員と言うのは、会社と言う共同体の一員になることですから、会社のために全力を尽くすのは当たり前で、それが嫌だといいながら、正社員になろうというのは虫が良すぎるというのが、まともな日本人の常識です。

その意味では真面目な朝日新聞記者なら朝日新聞を何が何でも守ろうとするのが当然で、実際そういう人に会って見れば個人的には立派な人が少なくありません。逆に朝日の社員でありながら、自社の非を庇うこともせず、「他人事」のように批判する人に会って見れば、とてもじゃないが付き合えないような人間だったりします。そういう裏切り者は人間失格と看做されて社会的に抹殺されます。反日デモをやっている日本人は大体そういう人達です。日本人なら誰だって「自分だけ良い子になって」仲間を貶すような人は好きになれないでしょう。こういう日本人の精神構造は、欧米人や中国人には不可解で、不信の元になりがちですが、日本人には、あまりにも当たり前になっているので、誤解されても真意を旨く説明できず欲求不満が溜まる一方です。

いずれにしてもネット上の実名投稿者の殆どは、自由業者かフリーター、善意の外れ者(私は多分その一人)か悪意の確信犯だと言って間違いありません。大多数の常識のある日本人は、共同体の中でしか発言しませんから、その外にあるネットの世界では良識ある投稿より極左や極右のプロパガンダの影響力のほうが強くなりがちだということです。

こういう共同体的組織が有効に機能しているときは無敵ですが、その存在理由がなくなったり反社会的存在になったりしたとき、痛みを伴う改革を受け入れさせるのは至難の業です。
中曽根内閣のとき国鉄を民営化できたのは、土光敏夫という人物が居たからですが、安倍内閣の農協改革や各種制度改革が成功するかどうかは、すべて、この人が言うなら仕方が無いと言わせるだけの人望(人徳+能力)を備えた人物の有無にかかっているのです。

こういう日本人の精神構造が形成されたのは江戸時代だということを最初に指摘したのは山本七平です。
アカデミズムからは、完全に無視されていますが、私は最高の日本思想論だと思っています。英訳してケネディ大使にも読ませたいくらいです。

是非、一読をお勧めします。
「日本資本主義の精神 」 1979 カッパビジネス(光文社)

1 件のコメント:

  1. 山本七平のもう一冊の必読書
    「人望の研究」 1983 NON・BOOK(祥伝社)

    上記の国鉄民営化における土光敏夫の存在の大きさを思うにつけても、明治維新において逸りたつ数万の官軍将士の主戦論を抑えて江戸城無血開城を実現し、さらに維新政府の元勲たち全員が明治天皇を含めて不可能だと躊躇せざるを得なかった廃藩置県を断行できた西郷隆盛という人物の計り知れない人望の偉大さに驚嘆します。しかも、このとき彼は自らの藩主である島津久光が強硬に反対していることを承知しながら御前会議の席上、独断で断固実行すべきだと奏上したのです。言わば主君に対する裏切りです。にも拘らず、藩士の誰一人離反することなく、最後には一万人近い藩士や領民、更には遠く東北から彼を崇敬する米沢藩士までが彼を慕って馳せ参じ、田原坂や城山の露と消えたのです。
    以来、日本中の子供たちは、彼が誰であるかも知らずにこの童歌を歌い継いで来ました。私は今でもこの歌を口ずさむと言い知れぬ懐かしさを覚えます。
    ・・一かけ二かけて三かけて~♪
    ・・姉さん姉さん何処行くの~♪
    ・・私は九州鹿児島の西郷隆盛娘です~♪
    ・・明治十年戦争で切腹なされし父母の~♪
    ・・お墓参りに参ります~♪
    ・・

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