それを賞賛せず批判にならない屁理屈を捏ねる世界のマスコミや学者~政治家~経営者の脳味噌に呆れます。
唯一の例外は、仏社会学者(歴史人口学)のエマニュエル・トッド氏です。
1月17日(木)の日経朝刊 ”視点・焦点” 面で、世界の自由貿易主義者を批判して、これからの時代は保護主義で乗り切るべきだと言い切っています。
・・自由貿易には絶対的な自由貿易しかない。しかし、保護主義にはいくつもの種類がある。馬鹿らしいものも節度あるものもあるのだ。
先進世界では保護主義と開国、つまり自由貿易が代わる代わるやってきた。 産業の発展は保護主義とともに起きた。
米国ではリンカーンが関税を30~40%にして始まった。
欧州ではドイツのビスマルクの保護主義的政策で飛躍的に成長した。
自由貿易が利益になる段階はあるが、行き過ぎると格差が生まれ、最先進国での工員の給与を抑制し、最終的に世界的な需要不足に陥る。
・・私は経営者などのビジネス人ではなく、教育階層に問題があると思う。大学と結びついた理論家が格差拡大につながる理論を主導した。
・・自由貿易は忘れねばならない。我々の前にあるのはよい保護主義と悪い保護主義の議論だ。 ・・保護主義が国家間紛争になるというのは嘘だ。保護主義は協力的で敵対を意味しない。
同じ紙面にハーバード大学教授と独アリアンツ主席経済顧問のインタビュー記事が掲載されていますが何れも歯切れが悪く、どう転んでも言い訳できるような言い方で実質的に何も答えていません。 それに対してグローバリズムの終焉とナショナリズムの台頭、EUの崩壊やトランプ革命を必然と言い切るトッド氏の炯眼と勇気に敬服します。