7月6日の日経コラム "核心"欄 で論説委員長の芹沢洋一氏が 『憲法と国際政治のはざま』 と題して安保法制の必要性を明確に解説しています。
反対論や問題点の指摘ばかりで一向に対案を示さない政治家や無責任な論者ばかり横行する大手メディアの中では稀有な存在です。
4段抜きの見出しは、まことに明快・・ずばり "安保にはリアリズム必要"
以下、その要旨を摘記する。
(疲れたので中断します・・7月20目標)
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(7月24日: 日が経ち過ぎたの)で再開します・・7月末目標)
合憲か違憲か ―― 集団的自衛権の行使容認をめぐる意見の対立がつづいている。
衆院憲法調査会で憲法学者がそろって違憲と断じて火がついた議論。 安全保障法制への反対論ともあいまって、とても鎮火しそうにない。
反対派からすれば頂門の一針だったに違いない。 たしかに効いた。 法案審議にブレーキがかかった。 まだ衆院での採決のメドが立たない。
ただ集団的自衛権をめぐる議論は昨日今日のことではない。 長い歴史がある。 少し冷静に考えてみる必要があるだろう。
①戦後史の流れを通してみると、憲法9条の解釈は、自衛隊の存在を含めて現実に対応する形で変容して来た。
戦後の議事録は今やネットで検索できる。
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まずは、今日を暗示するかのような質疑から
1999年4月1日の衆院日米防衛協力の指針に関する特別委員会の議事録
安倍晋三委員
「日米安保条約が締結されたときの衆院予算委で岸首相は、自衛隊が海外にまで出かけて行ってその国を防衛すると言う典型的な例は禁止しているが、集団的自衛権はそういうものだけではない、そこにはあいまいな点が残っている、と答弁している」
高村正彦外相
「現時点でのわが国政府の考え方は、実力をもって阻止することが個別的であれ集団的であれ、自衛権の中核的概念である」
国連憲章ではじめて盛り込まれた集団的自衛権。60年当時は行使可能なものと、不可能なものをわけて考えていた。
集団的自衛権の行使が憲法上、認められないという解釈が固まっていくのは70年代から80年代である。
②解釈と運用を現在の枠組みの中で考える憲法学。
衆院憲法調査会での長谷部恭男早大教授(元東大教授)の発言
「集団的自衛権の行使が許されるという点については、憲法違反である。従来の政府見解の基本的な論理の枠内では説明が付かないし、法的な安定性を大きく揺るがすものである」
「95%を超える憲法学者が違憲だと考えているのではないか」
解釈と運用を現在の枠組みの中で考える憲法学にはおのずとそうなるところがあるのだろう
③現実を直視するところからはじまる国際政治学。
これに対し、解釈変更に踏み出すお墨付きを与えたのが安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)だった。
顔ぶれは、政治学者の北岡伸一国際大学長(座長代理)、田中明彦国際協力機構理事長、中西寛京大教授、細谷雄一慶大教授・・・とそうそうたるメンバーがずらりと並んでいる。
引っぱったのは国際政治に精通した学者だった。国際社会での国家の政策決定や安全保障などを分析する国際政治学は、現実を直視するところからはじまる。
④背景には、五百旗頭真熊本県立大理事長がずばり語ったような、日本を取り巻く安全保障環境の変化がある。
「中国は途方もない超大国になりつつある。日米が非常に緊密な協力関係にあることを示すことが出来れば、中国を自制させる大きな効果をあげる。集団的自衛権も日本の防衛にかかわることであればやった方がいい」
一番の狙いは対中抑止力だ。
④憲法学と国際政治学の認識の違いはどこからくるのだろうか。
佐々木毅東大名誉教授(元総長)に聞いた。
「規範性を重んじる憲法学と、権力運用論の国際政治学では、学問としての立ち位置に違いがあって不思議ではない」
「ローマ時代から、必要に応じて規範を相対化する議論は山のようにある。こんどの問題が規範と権力の関係だとすれば歴史に深く根ざしたものといえる。ある程度の緊張関係があるのは健全でもある。」
規範に立つのか、権力運用に身を寄せるのか。両者を止揚する学問はない。
安保法制懇の報告に首相自身が枠をはめ、自公協議で限定し、内閣法制局も認めた案。恐らく時間差で個別自衛権に入ってくるような、ほんのわずかにでっぱった集団的自衛権だ。
憲法解釈の変遷があって、国際環境の変化があって、そしてすぐに憲法は変えられない。
ここはリアリズムで考えたい。
関口評: 憲法の機能には二つの側面がある。
一つは国内法に対する最高法規としての側面であり、その解釈と運用は裁判官と法学者に委ねられるべきである。
もう一つは国際関係における国家としての行動規範であり、その解釈と運用は政治家と政治学者に委ねられるべきである。
2015年7月19日日曜日
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