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2014年7月11日金曜日

杉原浦千畝美談をどう読むか

日本政府の人種差別反対方針は以前から一貫していましたし、独政府からの要請にもかかわらずユダヤ人受け入れを5相会議で確認済みだったことを有能な外交官であった杉原氏が知らなかったはずがありません。それでも彼が立派だったのは外務省の駆け出し担当官が拘る形式要件を個人の一存で無視してVISA を発給したことですが、帰国後それを咎めるような馬鹿な上役はいませんでした。彼はきちんと退職金も受け取り、死後も遺族は年金を受け続けました。 そもそも、日本政府が外務省切ってのロシア通であった杉原氏を駐モスクワ日本大使館に赴任させようとしたのをロシア政府に拒否された際、独露をつなぐ情報拠点であったリトアニア総領事館への赴任を申し出たのは杉原氏自身でした。任期中の最大の功績は英国内のポーランド亡命政府とドイツ占領下のポーランド地下政府の通信文書を駐英日本大使館と駐リトアニア日本総領事館の外交機密文書に隠して郵送し続けたことです。もちろん、その目的は独露交渉の成り行きを探るためでした。そのために、ポーランドレジスタンスのスタッフを数人総領事館職員として雇っていたそうです。 こんなことは、日本の外務省はじめ英米イスラエルのキーマンが知らないはずはありません。天皇陛下が杉原氏の記念碑に黙礼されたのも全て承知の上でしょう。 みな承知の上で『杉原氏個人の人道話』としておくことで八方丸く収めているのです。 安倍さんがイスラエル訪問中に『偶然』マケイン上院議員に出遭い、それをきっかけに米上下両院会議での演説のきっかけを掴んだというのも『日米英独イ政府間の和解(≒暗黙の同盟)』の一環でしょう。 それを論ってネタニア市長や市民、斑目氏の善意の行動の粗を探すことには百害あって一利もありません。 私たちは、国際外交の駆け引きを承知の上で、それを度外視したかに見える『世紀の美談』を語りついでいくことで、日本人の評価を高めていけばよいのです。

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