昨日(2012.11.22)の日経朝刊 「文化欄」 にピアノ調律師山田宏氏が 「音作りはオーダーメイド」 と題して一流ピアニストの音に対する厳しい要求について書かれている。 詳しいことは例によって紙面を読んでいただくが、その内容は、音程、音色、強弱、バランス等、多岐に渡り、それも演奏者ごとに注文が付くという趣旨だったが、それを読んで、思い出したことが2つある。
ひとつは、娘が英国留学中お世話になった恩師フランク・ウィボウ氏が、最近、鎌倉文化ホールで開いたチャリティリサイタルの際、会場のスタインウエイの調律師をきりきり舞いさせたと言う話である。
一音一音の正確さなどは、当たり前、タッチしてから鳴り出すまでの微かな時間のずれから始まって、和音を弾いた時の夫々の音の大きさや持続時間等々・・いろいろな不具合を指摘され、開演時間の直前まで大童だったとか。
もうひとつは、亡父が、学生時代の昭和の始め、故宮本金八氏に始めて会った時に言われたと言う言葉、「バイオリン製作者の生き甲斐は、音色です。 お金や名声ではありません。」 である。
(亡父の遺稿 「A Mysterious Episode of Violin 」より)
いずれの場合も、演奏者の思い通りの音を実現するためには、職人の手が必要だと言う点に変わりはないが、ピアノの場合は製作者と調律師の分業が成立しているのに対して、バイオリンの場合、それが無い。 必要なら製作者自身、もしそれが故人なら別の製作者の手に委ねるられることになる。 しかし、ストラディバリウスの調整をあえて手がけられる職人が分業が成立するほど沢山居るとも思えない。 最終的には、演奏者自身の手に委ねられているというのが実態だろう。
2012年11月23日金曜日
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